作:谷藤太
演出:谷藤太
舞台中央に石段があり、赤い鳥居の鈴懸神社へと続いている。この神社は別名「子宝神社」とも呼ばれている。しかし、そのふもとで甘味処「いわき」を営んでいる岩城夫婦は子宝に恵まれない。皮肉なことに、「いわきのだんごを食べると子宝が授かり安産になる」という都市伝説が広まり、近くに産婦人科もあることから、店は幸せな妊婦たちが頻繁に訪れる。岩城の妻・小梅は、自分には神社やだんごのご利益がないことに憤り、自分の名前がこうめ(子産め)であることを呪う。精神的にも不安定になり、離婚の危機かと思われたが、産婦人科の医院長・羽柴から特別養子縁組の話を持ちかけられる。小梅は夫・俊和の同意を得て自分の両親を説得しようとするが、小梅の父は「血がつながっているのが親子だ」と頑として受け付けない。さらに母・静子が数十年前に冷凍保存していた卵子と受精卵が存在することがわかると、代理卵子やお腹を借りる代理母の提案をして養子の話を拒否する。そんな時、養子に出そうとする母親の正体がわかる。まだ20歳の女子大生・歩子で、望まれない相手の子供を妊娠してしまい、両親の強い勧めもあって養子に出す決意をしていた。特別養子縁組にすれば、戸籍上も相手の子供となり傷はつかないというが、日に日に自分のお腹の中で大きくなっていく赤ん坊に愛情を覚えてしまい悩んでいたのだ。そんな歩子に小梅は、「生まれてくる赤ん坊の気持ち」になって決めればいいと諭し、自分には経験できなかった「出産」という一大イベントを楽しめとアドバイスを送る。そして無事に生まれた赤ん坊は、岩城夫妻の養子となることになったのだが、まだまだ障害に見舞われてしまい……子供をめぐる6組のカップルによる悲喜劇!
■出演
千代延憲治 松山尚子 川島美衣 永井博章 米谷美穂 荒井眞理子 鈴木浩之 浦田昌和 蜂谷英昭 戸塚有紀 若梅純希 平野尚美